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【ポール・ホーケン氏】気候変動の被害者ではなく当事者としていかに行動するか /2021年 登壇者紹介

2021.07.28

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荻野淳也からの登壇者のご紹介、第2回目は気候変動の研究者であり、環境活動家、そして多くの気候変動に関する著書のあるポール・ホーケン氏です。

書籍『ドローダウン』は世界的なベストセラーとなり、気候変動に関する状況や解決の方向性について、豊富なデータを元に私達に今後の取り組み方を提言されていらっしゃいます。

気候変動問題に耳を傾ける

ホーケン氏はサンフランシスコのWisdom2.0でもここ数年連続して登壇されており、新しい常連スピーカーのお一人となっています。
数年前Wisdom2.0の登壇を拝見した時に、いずれ日本でもお呼びしてお話をして頂きたいと考えておりましたが、今年ようやく実現する運びとなりました。

今年3月に米国で行われたWisdom2.0でもオンラインで登壇され、ファウンダーのソレン氏と今後の私たちが取り組むべき気候変動に対する姿勢について、まさに叡智あるあり方でお話をしてくださいました。

その3月のセッションで、とても印象的だったホーケン氏の話があります。
ソレン氏が尋ねたのは、気候変動に関しては様々な視点があり、そうした様々なポイントに対して大きな影響力を及ぼすような、まさに針のツボみたいなものはあるのでしょうかということを質問でした。

その時のホーケン氏の答えは「聞くこと、耳を傾けること」でした。

当然、科学的な知見もお持ちのホーケン氏のことですから、気候変動に対する科学的な見地からのソリューションをお伝え頂くものと想定しておりましたが、まずは耳を傾けること、とのこと。

端的に彼の話を要約すると、現在の気候変動に対してそれに取り組んでいくためには、まさにいま人類が一つになる必要がある。
ただ政治的にも経済的にも、気候変動の問題に関して目指すべき本来の目標は一つのはずなのに、意見の対立や手法の違いによって私たちがひとつになれてないという現状があります。

まずは人の話を聞くこと。
例えそれが自分とは意見を異にする相手の意見でも、まずは評価判断なく聞いてみること。
そして、その人の視点を謙虚に受け止めて考えてみること。
そして総合的に見ることそれによって、僕たちが一つに繋がるヒントと、巨大な問題に対しての解決策を見出す叡智が立ち上がってくるのだと、そんな趣旨のお話でした。

被害者から当事者へと意識を変容させる

気候変動の問題は日々情報が発信されています。
温暖化、豪雨災害など、気候変動の変化による影響も受けています。

しかし、多くの人にとって「何が未来に起こるかわかっているけれどどうしたらいいのか解らない」「気候変動の阻止に貢献しているという感覚がない」という側面があるのではないでしょうか。

彼自身、自分事として環境をとらえていないマインドセットがあることが問題なのではないかと気づき、その気づきから気候変動の問題に取り組み始めたといいます。

地球の一部である私たち人間が、気候変動の被害者としてではなく当事者としていかに行動するのか。
種としての人間として生き物として、自身のマインドを更新し行動を変容させる必要があります。

2021年9月に出版される彼の書籍のタイトルは『リジェネレーション(再生)』です。
2021年10月に開催されるWisodom2.0Japanは、彼のメッセージを直接日本に届けられる絶好のタイミングとなるでしょう。

今、私たち人類と地球がどのように再生を遂げていくのか。
彼から新しい希望や政治についてのヒントを共有頂きたいと思っております。

ポール・ホーケン|Paul Gerard Hawken
環境ビジネスを立ち上げ、自然とビジネスについての執筆活動を行う。各国首脳やCEOに対し、気候、経済、生態系の再生についてのコンサルティングを行っている。Project Drawdownの創設者であり、200人以上の学者、学生、活動家と協力し、100以上の温室効果ガス削減策の調査分析、効果測定をリードする。『Drawdown』(2017年)を含む8冊の著書があり、50か国30地域で出版されている。

デザイン / 編集:Hidekuni Yano

※noteより転載
元記事:https://note.com/w2j/n/n68563e249877