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2019年12月20日、ジョアン・ハリファクス老師はジェーン・フォンダ率いる気候変動プロテスト運動に参加し、他の137名の参加者と共に市民的不服従(市民としての抵抗)罪で逮捕されました。
逮捕時の写真を見ると、老師は威厳のある微笑みをたたえています。
その訳をお訊きすると、「混乱の只中で、心はとても穏やかだった」と仰られました。
老師の教えのひとつである”Strong back, soft front”を垣間見ることができますね。
逮捕前に老師が行った、気候変動に私たちがどう対処すべきかに関する演説をご紹介します。
気候変動を憂えているだけではなく行動しよう、皆で行動することにより希望が生まれる、という力強いメッセージが込められています。
米国連邦議会前における演説(2019年12月20日)
ファイアー・ドリル・フライデー:ジョアン・ハリファックス老師
私はジョアン・ハリファックス老師です。
禅仏教の僧侶で、ニューメキシコ州サンタフェにあるウパヤ禅センター主管をしております。
私は1960年代から社会活動に従事しており、道徳的また社会的な責任ある変化をもたらす上で、民衆にどれほどの力があるかをこの目で見て参りました。
女性、仏教徒、また高齢者でもある私は、若い世代や有色人種、原住民、戦火や災害からの避難民、そして環境破壊による重い被害に不平等に苦しむ事になるすべての人々のために、連帯感を持って今日ここに立っています。
彼らのみでなく、私はあなた方全員と連帯感を持っています。
私たち一人ひとり、また私たちの子や孫たちは、たとえ特権階級に属していたとしても、すでに始まりつつある気候変動による大惨事から影響を受けることになります。
私たちは相互に依存した世界に住んでいます。
そして私たちが共有するエネルギー源が、あらゆる種の個体や集団の健康にどれほどの害を与えているかを否定することは出来ません。
このようなエネルギーと経済制度を変革することが、今間違いなく必要とされています。
私たちはこれを勇気とコンパッション、愛と叡智を持って行うべきです。
しかしながら、私たちは未だそれをを実行できていません。
それは何故でしょうか。
石油会社は利益追求のみを目指しており、政治家を買収し、マスコミを混乱させ、縁故主義に走り、民主主義を蝕んで来ました。
そうすることで、環境や人類への影響に関係なく、利益を上げ続けられるからです。
良いですか、そのようにしてのし上がって来た企業や財界のエリート達が、リサイクルや省エネ電球の使用など個人的な行動へ人々の注意を向けようとする事には理由があるのです。
国民の経済格差や社会的格差の拡大をもたらす独裁政権への移行を支持する事にもです。
これらの資本主義の君臨者達は、地球を汚染し未来を損なう事によって利益を得ている企業に、政府がチェック機能を強制的に実施して改善を図るような方策を含む根本的な制度変革を、私たちが必要としていることに気付いて欲しくないのです。
国民が自主性を持って活動する健全な民主主義は、自らへの脅威になる事がわかっているからです。
よく聴いて下さい、私たちは健全な民主主義を体現しなければなりません。
さもなくば未来はありません。
また、気候変動によって日々、私たちの健康が蝕まれている事実に、私たちは目覚めなければなりません。
大気はアレルギー物質やカビ、煤煙、水銀(胎児にとって神経毒です)、発癌性のある石油化学薬品、呼吸器に害のある粉塵、病原菌を持つ虫や極度の気温上昇などの問題で溢れ返っています。
水は環境ホルモンや毒性化学物質、下水や、人間を死に到らしめる事もある藻類細菌などの汚染微生物に汚されています。
プラスチックは海洋や漁業にダメージを与え、海水の汚れのために私たちの飲み水も汚染されています。
旱魃や洪水により森林や農地、都市までもが打撃を受けています。
それよりさらに深刻であるにも関わらず、ほとんど話題にされない病は、洪水や旱魃、火事、熱波など気候変動がもたらした災害の何百万という被害者たちが苦しむトラウマや、計り知れない悲しみでしょう。
極度の気温上昇は武力侵略や紛争、強制移住とも関係があるとされており、これらも深刻なトラウマや精神的な傷となって何百万もの人々を苦しめています。
さらに、気候変動による災害を目の当たりにした人の重度の精神的苦しみもあります。
立ち上がり抵抗を試みる人々の尊厳を打ち砕くような攻撃行為や、利己的な政治家やフェイクニュースの記者、気候変動により恩恵を受ける人達による、彼らへの脅しや尊厳の欠如した扱いに対して感じた道徳的苦悩も忘れてはなりません。
ですから、今、このように問う必要があります。
「誰が変革を行うのか」。
それが私たち一人ひとりであることは自明の理です。
宗教指導者であれ、農民であれ、政治家であれ、子供であれ、孫を持つ女性であれ、皆で団結して気候変動を食い止めるための運動の矢面に立つ人々を支持し、気候変動による災厄をもたらした人々の責任を追及すべきです。
「ニュー・エナジー・エコノミー」を率いる弁護士のマリエル・ナナシ女史は次のように書いています。
「私たちは今、岐路に立っています。
不自然に増強し過ぎた資本主義の縮図であり、極端な搾取と人種差別を中心に据えているエネルギーシステムがもたらした地球の病という、非常に現実的な可能性を受け入れるか。
あるいは、これを奴隷制度の廃止以来省みたことのない、現在の経済制度の根の部分を変革する大きなチャンスと捉えるのか。どちらに進むかは我々次第です。」
資本主義の初めの200年は奴隷制度の上に成り立っていました。
次の200年は化石燃料です。
私たちが生き残りたいのであれば、これからの200年は再生可能資源に基づいたものでなければなりません。
建国の礎であった奴隷制度、何十万もの命を犠牲にしたこの制度を廃止することができたのであれば、私たちは気候変動を認め、毒を放出する化石燃料の使用を廃止し、不正に基づく経済制度を平和に基づくものへと変革することができるはずです。
1861年に奴隷制度廃止が道徳的に正しい事であったように、いかなる犠牲を払ってでも化石燃料の使用を止めることは、現代、道徳的に避けられない決断です。
そしてそれは可能なのです。
(中略)
皆で運動に参加し、金銭的、またボランティア活動による支援を行い、友人を勧誘しましょう。
懸案やアイデアを周囲と話し合いましょう。 反対運動を主導、またそれに参加し、「市民としての抵抗」を真剣に行いましょう。
行動から希望が生まれます。
希望の無い所に未来はありません。
でも皆で行動すれば、希望を持つことができます。
今、あなたも私も行動すべき時です。
道徳的に正しく健全で実行可能な未来を望むのであれば。
科学を信頼し、私たちの子や孫から未来を奪いつつある石油化学産業や企業、軍隊、政治家の責任を追及すべきです。
今、気候変動による大災害を引き起こした要素である構造的な暴力を排除するために立ち上がるべきです。
若い世代や原住民、有色人種と団結して立ち上がり、道徳に基づいた考えとコンパッションに基づいた直向きな行動を携え、この集団的危機に向き合いましょう。
利権を失うことへの恐れから指導者を選んではなりません。
恐れや否認、無益な行動は、この危機的な状況において邪魔なだけです。
今は投票し、行動し、支持し、目覚める時なのです。
そして周囲を目覚めさせ、生きとし生けるものすべてのために健全な未来を実現するための改革者になろうではありませんか。
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